十二月の雨



  街を洗い流した雨が
  川に集まってくる
  濁りと勢いを増し
  一年分の
  街の嫌なことを運んでいく

  十二月には期待できない
  大雨が僕に降り
  内緒だった
  希望の一つを残して
  忘れてみたいのだ

  十二月も
  田んぼに降り続く
  きびしい雨が
  農業の未来から
  足がかりを奪っていく

  せめて
  恋人たちに降る雨は
  新しい年に約束できる
  笑顔の雨粒で
  ありますように




   田んぼの一年へ